第8話、資産と負債 −Balance sheet−B/Sの話一 税理士 城 間 源 哲 B/S(貸借対照表)は、左右の金額が必ずバランスする(一致する)表であり、右は資金集め(資金調達)の内容を示し、左は資金の使いみち(資金運用)を表します。このことはすでに学んだところです。今回は、バランスがとれているというのに、なぜ、せっかく買った資産が重荷に思えたりするのでしょうか。実は貸借対照表の個別の内容を見ていくと、負担になっている原因が解かります。 結論から言いますと、購入した資産が重荷になるのは、その資産自身の借金返済分を稼いでくれないからです。設備投資をしても、そんなに急に収入をもたらすものではないのです。購入のための借金が多すぎたのか、その資産の稼ぎが悪いのか。ここで、借金といい、稼ぐといいました。ですから、借金ではなく、自己資金で購入した企業は、事情は異なり、負担、重荷を感じることはありません。でも、せっかくの自己資金を投下しているのですから、その稼ぎはやはり気になります。現実には、企業がそれなりの固定資産を買うときは、たいてい負債で資金調達をするものです。つまり、固定資産が自己資本を上回ることから、資金繰りが苦しくなる話が始まるわけです。固定資産は自己資本で購入するようになると、経営者はもっと気が楽になり、じっくりと腰を据えた経営が出来るわけです。固定資産を自己資本で割った{(固定資産÷自己資本)×100}を固定比率といい、これが100%以下になるといいですね。 ![]() 固定資産は購入金額が大きい割には、その活用による稼ぎはいきなりはやってきません。その資産のもたらす毎月の稼ぎはある程度限られたものです。ですから、購入資金もその稼ぎで返せる長期の固定負債を当てるわけです。先程申し上げましたように、落ちついて経営に専念するためにも、固定資産購入は、自己資本が当てられるようになることを一応の目標にしましょう。一応というのは、激しい競争時代においては、積極的な設備投資が求められますから、投資の一定額は負債によることが、むしろ現実です。ただし、この場合も、長期で返済すればよい借金を調達しなければなりません。 繰り返しになりますが、自己資本によるというのは、これから先の目標としても、固定資産は、自己資本と固定負債の範囲と考えましょう。これを固定長期適合率といい、固定資産を自己資本と固定負債で割ったもの{(固定資産÷自己資本+固定負債)×100}です。固定資産投資の安全性を示す指標とされます。120%以上は危険ということですが、それ以上でも返済する期間が長期であれば、企業継続が充分にできるわけです。 経営指標の比較数値は、過去のデータによると、このあたりがたいていの目安です、ということです。個々の企業には、それぞれのその企業らしい力がありますので、参考までにとお考え下さい。 ちなみに、沖縄の黒字企業(1.713社中の544社)の固定長期適合率は81%という数字がデータとしてあります。前述の120%と比較するととても良いわけです。かなり良すぎる気がしますので、機会があればそれらの企業の業種別を見て、どうしてそんなに良い数値になっているかをお知らせします。固定資産の所有を極力はずす努力をした業種がありますので、その影響だと思います。 流動比率についてお話する約束でしたが、次回以後にします。 |