![]() ![]() − 対策の効果は確実で大きい − 今回は相続対策と養子縁組について考えてみましょう。 “養子縁組”は相続対策上の効果が確実で即効性がある 養子縁組制度は、縁組みをしたその日から法的な親子関係が成立する制度で、法律上は実子と全く同様に取り扱われることになります。すなわち、養子の人数だけ相続人が増えることになるわけです。そのことに相続対策上大きな意味を持ちます。 相続税における養子縁組の効果は主として次のようなものです。 @ 相続人が一人又は二人増えることにより、基礎控除額が増え、累進税率も低くなる A 生命保険や死亡退職金等の非課税枠が拡大する B 孫と養子縁組をすれば、相続税が課税される機会を1世代飛び越すことができる C 養子縁組をすることにより、本来の相続人以外に財産を相続させることができる このように、養子縁組は相続対策を考える上で、真っ先に検討する価値のある対策なのです。 今まで関わってきた相続の案件には、養子縁組をして相続税を効果的に節税したり、その法的効力を利用して上手く財産承継を進めているケースもありますが、なかには養子縁組をしていれば、かなりの相続税が節税できたのにと思うケースが少なからずありました。 事 例 Yさんは昨年85歳で亡くなりました。奥さんは既に数年前に他界され、相続人として長男と長女の二人がおります。評価額で約3億5千万円の相続財産を残しました。この場合の相続税額はだいたい次のようになります。 ◆ 現 状 基礎控除額:7,000万円(5,000万円+1,000万円×2人) 課税遺産額:28,000万円(35,000万円−7,000万円) 1人当り相続税額:3,900万円 (28,000万円÷2人)×40%−1,700万円=3,900万円 相続税の合計額:7,800万円(3,900万円×2人) ◆ 養子縁組をして相続人が3人になった場合 基礎控除額:8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人) 課税遺産額:27,000万円(35,000万円−8,000万円) 1人当り相続税額:2,000万円 (27,000万円÷3人)×30%−700万円=2,000万円 相続税の合計額:6,000万円(2,000万円×3人) 相続税の節税効果 7,800万円−6,000万円=1,800万
このケースの場合、相続人が2人から3人に増えることにより、相続税に実に1,800万円の違いが出てきます。なおかつ、孫を養子にすることによって、息子を飛び越えて孫に財産を相続させることができます。そのぶん子に相続税が課税される機会を減らすことにもなるわけです。ただし、養子が被相続人の孫の場合、その取得した相続財産にかかる相続税額は2割加算の特例が適用されます。 養子縁組の手続きは簡単、慎重に検討 養子縁組は、役所に「養子縁組届」を提出することにより行いますが、未成年者を養子とする場合には家庭裁判所の許可が必要となります。また、養子の年齢が15歳未満であるときは、法定代理人(通常は実親)の承諾が必要である等の諸規定が定められています。養子の種類には普通養子と特別養子があります。どちらも法律上は実子と同じ資格を持つのですが、特別養子の場合は、養子となるものが6歳未満でなければならないことや、実親や親族との法律上の関係は消滅するなど、大きな違いがあります。民法上の養子縁 組は、養子の人数に制限はありませんが、相続税法上は被相続人に実子がいない場合2人まで、実子がいる場合は1人しか法定相続人として計算できません。これはむやみに養子を増やすことで相続税逃れができないように税法の網をかぶせているわけです。また、相続税を不当に少なくするために養子縁組が行われたと判断された場合は、相続税の計算上は養子がいないものとされます。養子縁組は、基本的に養親の老後の扶養や相続人の確保という観点からなされるべきものであり、その人の生き方や価値観に深く関わるものだといえます。相続対策の観点から養子縁組制度を取り上げましたが、もちろん相続税対策だけのために養子縁組が行われるべきものでないことはいうまでもありません。
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