生前贈与と相続時精算課税制度の活用
− 3500万円までは無税で贈与 −

 「子や孫に財産を分けたいが税金が心配だ。何かいい方法はないか。」「相続対策のために今のうちに財産を移しておきたいのだが、贈与税はどのくらいかかるだろうか。」
 このような相談をよく受けます。
 子や孫に対する財産の贈与は、経済的な援助や相続対策の一つとして広く活用されています。しかし不用意に実行すると、もらった側が思わぬ税金を負担させられることにもなりかねません。
 贈与税は相続税の補完税として創設された税法です。相続前に贈与で財産が減少することによって相続税の課税が減少することを補う狙いがあります。
 贈与税は相続税やその他の税金と比較しても非常に重く・負担割合の高さには10人中9人までが目を丸します。相続税の場合は、「5000万円+法定相続人1人当たりにつき1000万円」の控除額を差し引いて課税対象の遺産額を計算しますが、贈与税は年間110万円しか控除できません。相続税と比較すると、贈与税の基礎控除は無きに等しいものなのです。
 だからといって何もしないでいると後であわてることになります。一度に贈与すると贈与税の負担が大きい財産でも、例えば何年かに分けて贈与をするとか同時に2名とか3名に贈与をすることで、贈与税の額を少なくする方法もあります。

 また贈与税には次のような特例もあります。
@配偶者に対する贈与の特例:婚姻期間が20年以上の配偶者に対して居住用不動産などを贈与した場合、通常の基礎控除とは別に2000万円の特別控除を受けることができます。

A住宅取得資金贈与の特例:子や孫が両親や祖父母から住宅の取得資金として贈与を受ける場合は、550万円までは無税に・最大1500万円までは5分5乗方式と呼ばれる特殊な計算方法で税額が計算され、通常の場合470万円の贈与税が95万円へ大幅に軽減されることになります。
 ただし、いずれの場合も上記の他に・幾つかの要件を満たしていることと贈与税の申告が必要です。
                     (Aは平成17年12月31日までの経過措置)

相続時精算課税制度
 昨年から新たに創設された贈与税の特例で、65歳以上の親から20歳以上の子へ最大2500万円(使途は問いません)、住宅取得資金の場合は最大3500万円までは無税で贈与できます。贈与額がそれ以上の場合は、超過額の部分に一律20%の贈与税が課税されます。ただし、相続時精算課税といわれるように、将来贈与者側に相続が発生した場合、この制度の適用を受けた財産も相続財産に合算して相続税を計算する仕組ですので注意が必要です。つまり贈与をいったん白紙こ戻して相続税を計算するわけです。
 この制度の適用は任意で、贈与者(父母)別にどちらかを選択できます。ただし一度この制度を選択したら通常の贈与課税制度には戻れません。また相続財産への合算は贈与時の評価額で行われます。一般的に、将来の評価額の上昇が見込まれる財産は早めに贈与し、逆に減少するような財産は相続まで待つほうが有利といわれています。
 相続税がかかる心配のないケースでは、この制度を活用して早めに子供に財産の移転をすることのメリットは大きいと思います。一方、将来相続税がかかることが明らかな場合は、この制度を活用することによって必ずしも相続税が少なくなるとは限りません。事前に充分検討したうえで実行することが必要です。