コ一チングの話 Vol.4
〜よりよい人生を送るために〜

〜自由になるということ〜
 コーチとクライアントの関係を効果的なものにする条件のうちの1つは、“そこにどれだけ自由があるか”ということである。これは、クライアントが人生のあらゆることについて話せる自由を指すのであるが、それだけでなく、評価されたり、何かをおしつけられたりすることから解放される自由も含んでいる。ここではまた、クライアントの失敗は“学びを深める機会”として認められ、結果に執着しないことが重要である。コーチングでは、クライアント自身が何を学び、何をするかが大事である。

〜心の元気〜
 20代の頃まで、私はタクシーに乗るのが苦手だった。運転手と何を話したらいいのかわからなくて息苦しかった。だから、黙っているのだが、それがまた苦しかった。沈黙に耐えられなかったのである。また、人が来たら隠れたくなるという性格でもあった。(それは今もあまり変わっていない。)要するに、あの頃は、随分と人間関係が不器用な時代だった。それに比べると今の私はタクシーで会話を楽しむこともあれば、黙っていてもあまり違和感を感じなくなった。嬉しいのは人が好きになり、会話を楽しめるようになったことである。
 最近、自分の強みを見つけた。人間関係がうまくいかなかった性格が実は自分の強みだと思えるようになってきた。というのは、自分の体験を通して“人間関係がうまくいかない人”の微妙な感覚が多少なりともわかるような気がするからである。
 先日、専門学校に勤めているOさんから久しぶりに電話があった。「模擬面接官を引き受けてくれませんか?」というのである。これから就職活動をする学生の合同面接会という企画があり、私の受け持ちは税理士事務所志望の学生で、平均年齢は20才とのこと。面白そうなので引き受けることにした。
 さて、折角、与えられたチャンスなので、私なりの面接会のゴールも考えてみた。会を通して、また、終了の段階で、彼らがどれだけ自由になれるか、(その人らしくなるという意味で、)その自由に向かってチャレンジしてみることにした。もしかすると私の強み(?)を生かせるかもしれないと思った。
 模擬面接の当日がやってきた。はたして彼らと私が心を解き放つことが出来るのだろうか。学生はみんな緊張していた。面接は始まった。私が感じたことを感じたままに彼らに伝えることにしよう。
 「志望の動機を聞かせてください。」「自己PRをお願いします。」「あなたの夢は何ですか?」・・・私はできるだけ優しい眼差しと笑顔で質問を繰り出した。その中で印象に残ったのは「あなたは何のために生まれてきたと思いますか?」と聞いた時の反応である。答えは様々だった。「両親のために・・・。」「周りの人に尽くすために・・・。」など。また、答えきれない人もいた。私が「幸せになるために生まれてきたんだと思います。」と話した辺りからみんなの表情が輝きだしたような気がした。大きくうなずく人、身を乗り出す人もいた。私は面接官であることをほとんど忘れてしまい、彼らとの時を楽しんでいた。私が笑顔で話すとみんなも笑顔になる。それが嬉しくて私もウキウキした。不思議な感覚だった。
 「何か聞きたいこと、ありませんか?」と問いかけると、案の定、待ってましたとばかりに質問攻めにあった。「どのような人材を望みますか?」・・・「素直に“ハイッ”と言える人ですね。」「喜舎場さんの感動したことを聞かせてください。」・・・「う〜ん、私は日々感動しています。実は今もみなさんのお陰でとてもワクワクしています。」これではまるで私が面接を受けているみたいである。
 心に残る3時間半のひとときだった。

第一事業部 喜舎場 繁
shi-k@kaikou.net
参考文献 「コーチングバイブル」